先日の昼休みに、何となく上野公園を歩いてみたくなり、暫く電車に乗って上野に行った。しかし、極度の方向音痴なオヤヂは、階段を上りそこね、公園口に出なければいけないところを、不忍口に出てしまった :oops:。ならば晩御飯の食材でも探しに(?)アメ横を歩いてみようかと、即座に目的(地)を変更して、オヤヂはアメヤ横丁を歩き始めた。すると、程無くして「とらや」という、羊羹・和菓子の老舗と同じ名前の店が目に入ったが、よく見るとその店は和菓子屋ではなく、「山・スキーの専門店」と書いてあった。

そこでオヤヂは、来月上旬に未だ真冬であろうフィンランドに行く予定であることを思い出し、代わりに晩御飯の食材のことはすっかり忘れてしまいながら、試しにその「とらや」に入ってみることにした。決して広いとは言えない店内には、けれども専門店らしく豊富な種類と品数の冬季スポーツ商品が、ギッシリと陳列されていた。商品が沢山あり過ぎて、何処に何があるのか皆目見当もつかないオヤヂは、恐らく店主であろう老人に、自分が靴を探していることを告げた。一面が雪と氷の世界に約１週間滞在し、１日のうちで僅かな時間は雪の中を歩くこともあるかもしれないが、基本的には終日乗用車の運転三昧で毎日を過ごす予定であるため、雪の中も歩けるが車の運転がし易い靴を求めているのだ、という説明をオヤヂがすると、老人はオヤヂを3階の登山グッズ売り場に案内し、全く迷いもせずに1足の靴をオヤヂに示した。見るとそれは、”Lowa”というロゴの入った皮革製のトレッキング・シューズだった。老婆? 驢馬? …発音はよく判らないが、どうやらドイツのメーカーらしいLowaを、これ迄オヤヂは全く知らなかったが、欧州の登山界では圧倒的な人気を誇る有名メーカーだという話だ。

オヤヂとしては、GORE-TEXを多用した軽量防水スニーカーの如き靴を勧めて貰えるのを期待していたのだが、Lowaの登山靴は内張りにこそGORE-TEXを使用してあるものの、外被は革であることが大きな特徴のようで、店主の老人は、雪（と氷）の世界にあっては防水加工を施した革に勝る素材は無い、ということを力説した。Lowaのローカット・トレッキングシューズは、オヤヂの心積もりよりもずっと高価だった上に、防水+手入れ用のクリームを2種類と、かの有名な登山家のReinhold Messnerがヒマラヤ登山の際にも使ったという靴下（Rohner社製）2足まで付けて貰ったので、超貧乏なオヤヂには途轍もなく痛い出費となってしまったが、ちょっぴり満足でもあった。