今年の初滑り

表題の”初滑り”といっても、勿論オヤジギャグが滑った、という話ではない(オヤヂのオヤジギャグなら、今年に入って既に数え切れないほど、滑ってしまっている)。スキーやスケートでもない。今日のオヤヂは、長野県蓼科にある女神湖で、Audi Driving Experience Situation 5 (ADE S5) =氷上ドライビング・レッスンを受講してきたのだ。女神湖迄の往復では、Y野さんのAudi S4 (B8)に乗せて戴いたので、高級車による送迎付きのVIP待遇といった雰囲気で、先日のFSWのスポーツ走行と同様に、オヤヂは非常に楽チンだった。但し、Y野さんの予想では、女神湖迄の所要時間が4時間だったので、我々は朝5時きっかりに出発したのだが、Y野さん運転のスーパーセダンは、僅か2時間余りで女神湖に到着してしまい、早過ぎて湖畔のホテル(コロシアム・イン・蓼科)の朝食会場すら未だ開いていなかったのには、笑うしかなかったけれど…。
(※なんと、カメラを持参するのを忘れてしまったので、写真は携帯電話で撮影;各写真は、クリックすると拡大表示される。)

今年は冷え込みが厳しいのと、地元の人々が氷の上に毎日のように散水することで氷を更に厚く育ててくださったのとで、凍結した女神湖の氷はここ数年では最も良い状態らしく、氷の厚さは40cmということだった。40cmの厚さの氷板が湖面にびっしりと張り詰めている場合、例え氷板にヒビ割れが生じても、犇めき合った厚い板が、水平から垂直に90度向きを変えて水中に落ち込むことが物理的に不可能なため、数十トンの大型トレーラーが上に乗っても大丈夫らしい。従って、僅か2 tにも満たない普通乗用車が走り回るくらいでは、ビクともしない氷の状態なのだ。

これまでのADEは、教習車が5台用意され、1台の教習車に対してインストラクタ1人+受講者3人の合計4人が乗り込む、というスタイルだったので、1回(=1日)の受講者は合計で最大15人だった。しかし、今回は受講者がこれまでの倍の30人に増やされ、教習車も倍の10台用意されていたのだが、インストラクタは6人だった為、一部の教習車にはインストラクタが同乗せず、無線機を使った指示に従って受講者が氷上走行を行なう、という日本国内のADEとしては初の試みが実施された。けれども、走行カリキュラムは非常によく練り上げられており、また、インストラクタの方々の指導力も抜群なので、教習は全て恙無く進行し、オヤヂはとても満足度の高い充実した1日を過ごすことができた。

カリキュラムの半分は、お馴染みの教習車であるA4 2.0 TFSI quattroを使って、パイロンを中心とした半径2mから6m程の円周回軌道上を4輪ドリフト走行する、「定常円旋回」が主であった。この定常円旋回が巧く”決まった”際には、アウディ自慢の4輪駆動機構であるquattroのお陰で、ステアリングを切ることなく殆ど正中位に保った侭、スロットル開度のコントロールのみで、半永久的にパイロンの周囲を回り続けることが可能となる。その回転半径は、通常の舗装(高摩擦係数)路面でタイヤをグリップさせて車両が曲がることのできる最小回転半径よりも、ずっと小さくすることも容易い。低摩擦係数(低μ)の氷上で、常にタイヤを滑らせながら、しかもステアリングを殆ど操作せずに、長さ4.7mもある普通乗用車が小さな円軌道を描きながら走り続ける、という状態は、自ら運転していると実に不思議な感覚だ。身体で感じるのは、スケート靴を履いて氷上を滑りながら円弧を描く際に感ずる感覚と似ていて、まさに「ツーッ」と滑る感じである。逆に、低μの氷上でタイヤを滑らせずに、舗装路面と同じように曲がろうとしても不可能なので、4輪の滑り具合のバランスをスロットル開度(と僅かなステアリング操作)で繊細且つ適切にコントロールできないと駄目だ。

オヤヂはこれまで、この定常円旋回が苦手で、唯の一度も成功したことはなかったのだが、今回は、午後の最初の走行の際に、自分の持ち時間(1分半?)一杯、ずっと定常円旋回をし続けることができてしまった。しかも、回転半径の調節もインストラクタの指示に合わせてほぼ思い通りにできたのには、我ながら驚いた。きっと、車外から無線で指示を送ってくださっていた井野まり子インストラクタも、目を疑う光景だったのではなかろうか? けれども、どうやらこの”現象”は偶然の産物だったようで、それ以降は、オヤヂが何度挑戦しても、再び持続的に定常円旋回を行なうことはできなかった。 😥

カリキュラムの残り半分は、先頃日本国内販売が開始されたばかりのA1 1.4 TFSIを使って行なわれた。前輪駆動(FF)車であるA1は、その駆動方式の特性として、前後の駆動力配分の可変制御機構を備えた4輪駆動(4WD)車であるA4 quattroに比べて、低μの氷上での旋回走行は不得手である。しかし、その特性を理解した上で、曲がりたい場所でクルマを巧く曲げてやる、という積極的なコントロールの仕方を体験できたのは、とても有意義だったし、楽しかった。そして、AUDIが新たなユーザ層を取り込もうと世に送り出して来たA1というクルマは、前評判に違わず、凄く魅力的であることも確認できた。

今年の初滑り」への3件のフィードバック

  1. 2月4日女神湖でご一緒しました。定常円で持ち時間一杯クワトロドリフト成功は快挙です。ちょっとしたコツが掴めれば凄く簡単な操作ですから、何時でも出来るようになるとより楽しいですよね。肩の力を抜いて、目線を確保し、前輪のグリップを探ってチョンとアクセルを入れてやれば滑り出すので、後は車のアングルに対する的確なアクセルとステア操作を慌てずにゆっくり出来れば、定常円の大きさも自由自在ですよ。お互い精進しましょう!

    1. ゴリさん、こんにちは。
      コメントを有り難うございました。仰る通り、定常円旋回(或いは、それに限らずどんな状況でも)の運転操作は、できてしまえば非常に簡単に感じられてしまうものでしょうけれども、実際にはその簡単なことが、なかなかできないんですよね。ゴリさんの如き達人の域に達することは、一生叶いそうもありませんが、少しでも技術を高められるよう、できる限り精進致したいと思います。今後も、ご指導ご鞭撻の程、宜しくお願い申上げます。

  2. よしさん 今晩は。
    何事も好きこそ物の上手なれと言いますから遊び心の余裕を持ってお互い精進しましょう。自分の場合、スム-ズな角の無い運転の究極版が目標ですが、他人よりも一秒でも速くとか、より良いタイムを出すこと等の雑念は全て捨て去って、あくまで自らのドライビングにおいて安全マ-ジンを増やす為であることを忘れてはならないと思います。結果、無駄の無いスム-ズな運転は車や自身の体への負荷が少なく、何時の間にか驚くほど速くなっているはずです。ドリフトが出来ることが目的ではなく、何故オ-バ-ステアになるのかその理由が判って初めて加重移動の重要性が認識でき、ドリフトは単なるパワ-オ-バ-だけではなく、ブレ-キでも、フェイントでも、サイドブレ-キでも、慣性でも作れるテクニックと言うことが理解できるのではないでしょうか。アンダ-ステアの回避も同様ですよね。ドライビングは奥が深いです。

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