フェラーリを買い損ねた

PlayStation 3 (PS3)用乗用車運転シミュレイタのGran Turismo 5 Prologue (GT5)上で、Ferrari F430 Coupeをここ数日「毎日運転」しているオヤヂは、その魅力にすっかり獲り憑かれてしまった。兄貴分のFerrari 599の方が明らかに速く、全てに於いて素晴らしいクルマであることは先日も書いたが、オヤヂは飽く迄ミドシップ派だし、価格のこともあって(599はF430に対して1千万円高だ)、オヤヂには絶対に手が出せない。一方で、先日大怪我(背骨と手指節骨の骨折)をして床上安静を強いられて改めて痛感したのが、人間いつ死ぬか判らない、ということ。オヤヂは元来刹那的な生き方をして来た方だとは思うが、怪我をしてから益々、「(いつ死んでもいいように)日々楽しく生きたい」という刹那願望が強くなってしまった。そこへもってきて、バーチャルな世界に於いて、F430の魅力にすっかり脳細胞を毒されてしまったオヤヂは、死んだ気になる程の覚悟で、現実世界でのFerrari購入を決意した。

しかし、つい先頃は、Porsche 911 (997) GT3の購入を考えたりしていたわけだし、Lotus Elise / Exigeの例を見れば火を見るように明らかな如く、クルマは軽いに越したことはない。そういえば、先日の東京モーターショウでF430の軽量化を中心とした性能強化版であるFerrari 430 Scuderiaの日本発売決定というニュースが流れたことを思い出し、どうせ買うならconventionalなF430 Coupeよりは430 Scuderiaだろう、などと、価格は随分とF599に近付くであろうことには都合よく目を瞑って、どうせ死んだ気になっているのだからと、コーンズ・アンド・カンパニー・リミテッド(日本に於ける唯一のFerrari正規輸入代理店)に購入予約が可能かどうかの問い合わせをしてみた。

すると、ある意味予想通りの答えが返って来た。非常に丁寧で詳細な回答だったのだが、要点としては、発売時期や価格は未定だが、予約は既に締め切っている、ということだった。911 GT3もそうらしいが、要するにこの手の限定スペシャルバージョンについては、その登場をズーッと狙って待ち構えているお金持ちが山程居て、出るという気配が感じられた時には、既に予約が殺到してしまうものらしい。庶民が雑誌などで情報を得る頃には、とっくに売り切れているという構図だ。限定版でも何でもないAudi R8でさえ、既に来年(2008年)生産予定分の8000台は完売しているらしいので、天下のFerrariやPorscheであれば当然といえば当然か。しかし、いつ手に入るか判らないし値段さえも不明だというのに、それを予約できる人々が日本にも数え切れない程居る、というのは驚きだ。日本に正式に割り当てられる430 Scuderiaの数は100台程度だろうとの予測をどこかで目にしたが、一件で400件以上の予約が殺到した店もあったようだ。

オマケに、F430 Coupeそのものが大人気で、嘗ては注文から納車までは3年待ち、現在はかなり短くなって2年弱待ち、だということだった。うーん、conventional Coupeでも充分以上の性能であることはPS3 + GT5で体験済みであるが、今注文しても2年後にしか手に入らないとすると、その間のライバル車(PorscheやLamborghini、そしてAudi)たちの動向も気になるところだ。しかも、Ferrari自身も2008年中にF430の後継車を発表するのではないかという噂まである。430 Scuderiaではなく”唯の”F430を新型発表のずっと後に手に入れても、オヤヂの性格上あまり喜べない可能性が高い。

やはり、高々2、3千万のクルマを買うのに死ぬ気の覚悟が居るような庶民には、無縁のクルマだということだろう。取り敢えずは、F430だろうと599だろうと発 (発 ではない)直後に注文をし、その到着を2〜3年待つ間に、430 Scuderia登場の気配があったらそれも直ぐに予約、その値段が決まる頃にはF430と599が手元に来るだろうから、合計6千万円弱のお金を払って暫く乗り、飽き始めた頃に新型車の発表があるのでまた予約をし、430 Scuderiaが到着したらF430は処分、Scuderiaを堪能しながら新型車の到着を待つ、というような人でなければ、買おうと思ってはいけない気がする。そういう人なら、序でにNissan GT-Rも買っとくか、という感じだろうか。なにしろ、日産がGT-Rの第一購買層に設定しているのが、年収5千万円以上の独身男性だそうだから。

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