それでも、オープン・カーの魅力には抗えない

一昨日の晩から妻が3泊4日の一人旅に出掛けてしまっているので、オヤヂは一人寂しくお留守番中だ。休日は、普段なら妻と一緒に過ごす為、少なくと も話し相手はいるという点で「何もすることがない」ということはないが、折角の3連休なのに独り抛っておかれると、誰かと話をすることすら不可能なので、 文字通りすることがない。仕方がないので、始終やっている洗車を、本日は少し念入りにすることにした。といっても、愛車のAudi RS4は”宵越しの汚れを持たない”状態なので、今更念を入れる余地が無い。畢竟、妻のメガーヌ嬢(Renault Megane Glass Roof Cabriolet)を磨き上げ、序でに四輪の空気圧の調整なんぞをしてみた。すると、折りしも晴天だし、久し振り(1年半以上か?)に、自らメガーヌ嬢 のステアリングを握って、ちょっとお出掛けしてみる気になったのだった。

しかし、走り出して数秒で早くも後悔。ガス・ペダルを踏むと、ブゥオ〜ンとエンジン音はそれなりに勇ましく鳴り響くのだが、足関節の(伸展)位置覚 や、聴覚の刺激から来る期待感とは裏腹に、三半規管や視覚には殆ど入力が無い。即ち、加速感が伝わって来ないのだ。しかも、低速でステアリングを切ると、 切り始めがオーバーステア気味にカクッと曲がる感じがして、妙な違和感がある。車速感応パワステの特性なのか、パワーアンダーステアになりがちなFF車の 欠点を補う為の味付けなのか。そうだった。この車はオヤヂの思った通りには走ってくれないので、運転は妻に任せっきりにしようと、1年半前に決心したのを 思い出した。だが、ここでお出掛けを中止してもどうせ暇を持て余すだけだし、折角屋根を開けて走り出した(RS4では絶対に不可能な事)のだから、と気を 取り直し、最寄の高速道路の入り口を目指して走り続けることにした。

思ったよりもずっと交通量が多かったこともあって、高速道路に乗り入れるまで随分と時間が掛かったが、そのせいでメガーヌ嬢の運転感覚にも慣れ、比 較的快適なドライブだと思えるようにさえなっていた。そしてその思いは、高速道路に入ると更に強くなった。RS4の数倍(!)の時間を掛けて、しかしそれ なりに淀みない加速度で以って、時速□70kmに達しても、風の巻き込みが殆ど無いのだ。嘗て乗っていたHonda S2000は、時速100km程度でもかなりの量の風を頭頸部に感じたと記憶しているが、S2000のように純粋な2シータでも無ければ、いかにも”空気 を乱すことなく切り裂きます”風の流線型のボディを持っているわけでもないメガーヌ嬢が、後部座席を塞ぐ形のウィンド・デフレクタを装着するだけで、完璧 な屋根無し防風高速移動空間に成り得るのは、驚異だ。しかも、それだけの高速域では、フランス車特有の柔らか目で深いストロークのサスペンションが落ち着 いたいい仕事をしている感じで、路面変化に対して車体が実に安定して反応しているし、ステアリングも弱アンダーステアで違和感なく操舵できるのだ。初秋の 陽光を目一杯浴びて最高の開放感に包まれ、外気の流れを確実に感じながらも、実際の空気の乱れは殆ど意識せずに、爽快な気分でヒューンと暫く走り続けた。 う〜ん、やっぱりこれだけで、このクルマの存在価値は充分にあるな、と思わされてしまうだけの、カブリオレの素敵な魅力に改めて気付かされてしまった、寂 しいオヤヂの休日のひとときであった。

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