獺祭(だっさい)

最近、妻とオヤヂの間でブームになった日本酒がある。その名は「獺祭」。読み仮名が振られていなくとも、これを「ダッサイ」と読める人は、さほど多くは居ないだろう。「獺」は「かわうそ」で、かわうそには、獲った魚を岸に並べる習性があり、その様が恰も魚を祭っている如く見えることから転じて、文章の執筆時に多くの参考資料等を広げ散らす事を指すらしい。因みに、正岡子規はその居を、獺祭書屋と号したそうだ(広辞苑より)。そうか、オヤヂもその昔、アカデミズムに浸っていた時には、獺祭三昧だったけれど、正岡子規のことも、この日本酒も、知らなかったなぁ。

妻とオヤヂは、基本的に日本酒は一切飲まず、専らビール、ワイン、ウイスキー、ラム、カルバドス、グラッパ、etc.の洋酒党だ。それが、昨年末に知人から「獺祭」を貰い、折角貰ったのだからと試しに飲んでみると、これが滅法旨かった。妻とオヤヂの思い浮かべる日本酒には、独特の癖があり、その癖が厭なので日本酒を飲まなかったのだが、獺祭には癖が無く、香りも果物のようで、あっさりした白ワインを髣髴とさせる。今や外来語として英単語に取り入れられている”Sake”ではなく、獺祭の場合はこれぞまさしくrice wineだ、と定義したくなる代物なのだ。

山口県の旭酒造が製造する純米吟醸酒である獺祭は、原料の米の磨きの度合いや、原酒から清酒への精製法によって、随分と沢山の種類があるようで、妻とオヤヂは現在、全種制覇を目論んでの挑戦過程にあるが、磨き二割三分という、原料の77%を捨ててしまう究極の大吟醸が、やはり一番美味しいかな。とにかく、洋酒も今迄と変わらず飲み続けている我々夫婦に、1ヶ月で2升5合を空けさせてしまうこの日本酒は、只者ではない。 😯

獺祭(だっさい)」への2件のフィードバック

  1. 「獺祭」・・・美味しいですよねぇ。
    実は私は飲食店を経営しているのですが、
    うちの店の一押し・・・というか、ハウス日本酒?はこの「獺祭」
    なんです。45・39・23と温め酒をお出ししておりますが、
    仕入れのタイミングによってはこれらの遠心分離モノ、本生、おりがらみものなど
    出たりすることもしばしばです。
    私の好みでは牛肉(イチボやともさんかくなどだとベストですが)をレアで
    塩と本山葵で食べる(モノによっては勿論、醤油でも)のに39というのが
    好きな組み合わせでしょうか。
    グラスはリーデルでいうとブルゴーニュタイプ(勿論、同じような形状の
    薄いグラスであれば家で飲むには他のメーカでも十分です)を
    使ってみてください。ちょっとビックリするほどマリアージュします。

  2. Luceさん、こんばんは。
    「獺祭」は知らなかった積りなのですが、実を言うとどこかで聞いた気もしていたんですよ。もしかすると、Luceさんの日記に登場していましたか?
    ウ~ッ、Luceさんのコメントを読ませて戴いた直後から、Luceさんのお店に伺いたくて仕方なくなりました。我家からはそう遠くない筈なのですが、列車を使って行くと東京都経由になり、三角形の二辺を通る形になってかなり不便です。しかし、料理と獺祭を堪能するのが目的となると、車で往復するわけにも行きませんから、比較的近所だけれど、泊り掛けで伺う必要がありますね。
    てんぷらの「くにさき」さんにも久し振りに行ってみたいし、春迄には是非一度、機会をつくりたいと思います。その折には、他のお客さんが嫉妬しない程度に、色々と薀蓄をお聞かせ願えれば幸いです。

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