e-Taxは本当に便利なのか?

オヤヂは、確定申告の際に、3年前から国税電子申告・納税システム(e-Tax)を利用してきたが、今年は印刷した申告書の提出に切り替え、e-Taxは利用しなかった。オヤヂにとって、便利さが感じられなかったからだ。

e-Taxの概念そのものは、非常に評価できる。即ち、いちいち紙媒体(物理的な書類)に必要事項を記入/印刷し、それを税務署に持参/郵送して提出する、ということをしなくても、自宅にいながらパソコンを使って書類を「電子的」に作成し、インターネット経由で「電子的」に提出(送信)できるのなら、不便な筈がない。税金の納付/還付だって、役所や銀行でいちいち現金を手渡したり受け取ったりしなくとも、インターネット経由で「電子的」に納付金/還付金の授受が可能である。実際、数年前に米国で暮らしていた際に、合衆国内国歳入庁[=国税庁](The Internal Revenue Service)に連邦税を、マサチューセッツ州(Commonwealth of Massachusetts)に地方税を支払っていたが、いずれの電子申告・納税システムも、非常に便利にできていて、インターネット接続環境と銀行口座さえあれば、他の事前準備/手続きは一切不要で、外国人のオヤヂでも戸惑うことなく申告・納税(還付金受取)ができる、素晴らしいシステムだった。

ところが、日本の国税庁が提供するe-Taxには、概念通り乃至は米国のシステムと類似の便利さは、全く無い。面倒な事前準備が色々必要な上に、電子申告書類の作成も、容易で便利とは言い難い複雑な手順で作成せねばならないからだ。この辺りは、お役所やe-Taxシステムの設計者の思想が大いに反映されている面だと思うが、特に、これ程煩雑な事前準備が必要なら、直接税務署に出向いて従来通りの申告方法を取った方が、余程面倒臭くなくてよい、という考え方が大勢を占めても、仕方がないと思う。しかも、昨年度までは、申告書を電子作成・電子提出しても、給与所得の源泉徴収票や医療費の領収書等の第三者作成書類を含めた添付書類を、紙媒体で税務署に提出(郵送)する必要があったので、普通の提出よりももっと面倒な側面すら感じられた。本年度からは、源泉徴収票等の一定の第三者作成書類については、提出/提示を省略できるようになったらしいが。

オヤヂが今年頭にきたのは、電子証明書の更新手続きが必要で、しかもそれが役所の不手際で巧く行かなかったことである。オヤヂは、電子証明書に公的個人認証サービスを利用していたのだが、電子証明書には3年間という有効期限があることは勿論知っていた。そして、今年の2月中旬がその期限だったし、役所からも期限到来のお知らせ兼更新手続きの案内が届いたので、電子証明書の期限切れ前に今年の電子確定申告を済ませてしまう手もあったのだが、あえて役所に更新の手続きに出向いた。ところが、オヤヂの住民票のある役所では、更新手続きの案内状を送りつけておきながら、実際には電子証明書の更新の仕方を職員が誰一人として知らず、オヤヂが窓口に更新手続きの申請書を出してから、数名の職員が慌ててマニュアルを探したり、機械のスイッチを入れたりしだす始末。挙句の果てには、畢竟操作の仕方を誤り続け、オヤヂの個人情報の詰まったICカードがロックされてしまうという、とんでもない不手際をやらかしてくれた。1時間も待たされた挙句、鼻孔から垂れてくる洟だか脳味噌だか判別不能な汁を頻繁に啜りながら、「ICカードがロックされてしまい、マニュアルを見ても操作の仕方が直ぐには判明しないので、後日出直してきてくれ」と平然と言ってのけた役所の職員に対して、憤懣遣る方無くなったオヤヂは、大人気ないと思いながらも相手を罵る捨て台詞を吐いてその場を立ち去り、今年は電子確定申告を諦めようと心に誓ったのだった。

国税庁も、e-Taxがお勧めです、なんて宣伝を本気でしているのなら、地方自治体の関連部署の啓蒙くらいちゃんとやってくださいヨ!

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