ビールは麦100%なればこそ。されど…

キリンビールの生ビール「一番搾り」が、いつの間にか麦芽100%になっていることに、最近のTVコマーシャルでオヤヂは初めて気づいた。調べると、2009年3月には、既に麦芽100%に変更されていたらしい。でも、これってかなり変ではないか?

日本のビールの多くは、原料として、麦芽以外に米やトウモロコシ等の澱粉を加えてから発酵させることによって、所謂「コク」を醸し出そうとしているようだ。しかし、オヤヂはそれらの”ビール”が何だか糠味噌臭い気がして好きではない。実際、ドイツでは麦・水・ホップ以外の原料を使ったアルコール飲料をビールと呼ぶ事を禁ずる法律があると聞く。因みに、”オールモルト”等の表現で用いられる「モルト」とは、大麦麦芽を指す言葉らしいが、ヴァイス/ヴァイツェンに代表される白ビールには小麦も用いられているようなので、ドイツでも「麦」100%なら「モルト」100%でなくともビールと呼んで差し支えないようだ。

上記の理由で、我が家では国産ビールを飲む場合、”正当なビール”であるし糠味噌臭くもない、サッポロビールの「ヱビス」かサントリービールの「モルツ」と決まっていた。最近でこそ、各種のプレミアム(高級?)ビールや地ビールも幾多の種類が手軽に入手可能になり、その中には麦芽100%を謳っているものも珍しくはないが。

そしてこの度、悪びれもせずに堂々と「やっぱりビールは麦芽100%に限るよねぇ!」というような具合の宣伝主旨で、新たに一番搾りが「正当なビール」市場に参入して来た訳である。キリンビールによると、色々と改良を重ねながら飲み比べて行くうちに、偶々100%麦芽に行き着いたのだという。しかし、それはある意味当然の帰結ではないか? 麦芽が原料に占める割合が少な過ぎて、日本の法律上ビールとは呼べない、所謂”発泡酒”は、ビールだと思って飲む限りは何となく不味いことが多いのと同じ理屈で、やはりビールは正当な(=即ち麦100%の)方が旨い、ということなのではないのか? 今迄散々色々な混ぜ物をして消費者の舌を欺こうとしてきたが、結局駄目で、基本に戻らざるを得なかった、ということなら、素直に負けを認めるべきだとオヤヂは思う。それを開き直って、「やっぱりこれだよね!」は酷かろう。しかも、発泡酒が税制面で優遇されているのに引っ掛けてか、「麦100%なのにお値段据え置き」と居直る始末だ。

尤も、同じ銘柄のビールでも、時代(人々の嗜好の変化)と共に、原料の配合や醸造法を変えることによって、次第に味が変わっているものらしいので、キリンビールとしては、特別なことをやっている積りはない、という理屈なのだろうが、オヤヂとしては、従来から麦100%を守って来たブランドたちに全く敬意を払わないキリンビールのえげつなさに、かなり悪い印象を抱かざるを得ない。

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