ナメクジ

関東甲信地方は、梅雨が明けたらしい。我家の家庭菜園には、毎年ナメクジが出没するが、今年は特に多く見掛けた。「大発生」と言ってもいいかも知れないと思うくらい、多かった。しかし、梅雨が明けて晴れる日が多くなれば、自ずとナメクジの活動機会も減るに違いない(甘いか?)。

庭に生えている大型の野菜(例えばアーティチョーク[朝鮮薊/チョウセンアザミ])なら、ナメクジが這った痕が白い筋として葉に残る程度で済むので、結構抛っておいてしまうが、二階のベランダにあるプランター内で育てている小さな野菜の場合は、抛っておけない。奴らは特に、種から発芽した直後のハバネロや、本葉が芽吹いたばかりのバジルなどを好んで喰いやがるので、性質が悪い。最近は漸く、プランター内の野菜たちも大きく育ってきたので、少しばかりナメクジに齧られても耐えられそうにはなってきたけれども。

広辞苑に拠れば、「ナメクジ」は漢字で「蛞蝓」と書くが、”蛞(カツ)”は”お玉杓子(オタマジャクシ)”の意味で、”蝓(ユ)”は”蝸牛(カタツムリ)”の意味なので、”殻の無い、幼生(お玉杓子)の蝸牛”ということらしいが、実際には殻が完全に退化した(より進化型の)陸生巻貝で、カタツムリの幼生ではない。語源については、「滑る/舐める(なめる)」と「抉る(くじる=えぐること)」が合わさったとする説が有力のようである。確かに、ナメクジの這った葉には、えぐられたような跡がついているよね。

そして驚いたことに、ナメクジは広東住血線虫(Angiostrongylus cantonensis)の中間宿主なのだそうだ(学生時代、寄生虫学の講義で、日本住血吸虫の中間宿主がミヤイリガイだというのは習った覚えがあるが、ナメクジについては覚えが無いなぁ…)。本来は鼠の寄生虫なので、ナメクジを食べた鼠に寄生し、その鼠の糞(広東住血線虫の卵入り)をナメクジが食べる、という形で循環するらしいが、民間療法でナメクジを生食する風習がある地方では、広東住血線虫のヒトへの感染例が見られるらしいし、ナメクジの付着した野菜を洗わずに誤って食べたり、ナメクジを触った手を洗わずに他の食物を触った為に感染した例もあるらしい。 😯

ということで、ナメクジは野菜に被害をもたらす煩わしい害虫(vermin)というだけではなく、恐ろしい寄生虫感染症(parasitosis)の原因にもなりうる危険な害虫なので、見つけたら即退治しよう。そして、野菜は(特に生食する場合)、よく洗ってから食べよう。勿論、草木を触った直後に、手洗いを励行しよう。

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