エビス西貸切占有走行会 (911 GT3 RS)

本日は、今年最後のエビスサーキット走行となる、西コースの丸一日貸切占有走行に参加してきた。今回も、インストラクタには井尻 薫 選手をお招きしたが、もうひとり、井尻選手の仕事仲間(?先輩)のK氏にも特別ゲストとしてお越し戴き、結局はインストラクタ役をお願いした。名目上の主催者であるオヤヂ以外の参加者は、SSDS主催者のM氏(Porsche 996 GT3)、M氏同様に先月も参加してくださったU氏(BMW M5 Supercharged!)、U氏のお友達のT氏(Porsche 996 GT3)とE氏(Maserati Quatroporte)、(有)Brightning代表の嶋崎氏(Mazda NCEC Roadster改)、それに今年の春に東コースの貸切占有走行会に参加してくださったT氏(Mazda NCEC Roadster改)である。オヤヂのPorsche 911 (997前期型) GT3 RSと併せて911 GT3が3台参加というのも壮観だったし、BMW M5やMaserati Quattroporteという重量級の高級車がサーキットを疾走するというのも凄い風景だった。

今年は、エビスサーキットに随分とお世話になった年だった。午前8時半から午後4時半までの8時間を、丸々貸切で好きなだけ走り回れるという、贅沢な貸切占有走行会(「のんびり走行会」)を、名目上の主催者としてオヤヂが始めたのは昨年からであるが、今年はその「のんびり走行会」を5回(東コース2回、西コース3回)開催することができたし、単独開催のSSDS (Shibuya-Saitoh Driving School) にも1回参加させて戴いたので、合計で6回、エビスサーキットを走行したことになる。平均して2ヶ月に1回のペースだ。他に、富士スピードウェイ (FSW) のスポーツ走行も何回か行なっているし、筑波サーキットの走行会やジムカーナ走行会等にも参加しているから、「月1回程度の頻度でサーキット走行をやりたい」と思っているオヤヂにとっては、ことサーキット走行に関して、ほぼ理想的な1年だったと言える。

それはさておき、今回のオヤヂは、Porsche 911 GT3 RSに、TOYO Tyresの新製品であるProxes 1を装着して走行会に臨んだ。その結果は大満足である。先月は、坊主になり掛けのProxes R888で走った訳だが、その時は自分でどんなに頑張っても1’09秒台がやっとだったのに、本日の自己ベストは、これまでのベスト記録を2秒更新する1’07″40で、7秒台での連続周回も可能だった。小生を助手席に乗せてのインストラクション走行で、軽く1分7秒フラットをマークした井尻選手の話では、トータルグリップはAD08の方が上だろうけれど、バランスはとても良いし、真面目にアタックすれば6秒台は軽い、ということだった。

Proxes 1を装着して公道走行をすると直ぐに、ADVAN Neova AD08と感触が似ているな、とオヤヂは思ったのだが、サーキットでもその印象は変わらず、ブロック剛性の高さが如実に感じられ、周回を重ねても熱ダレしないし、摩滅もし難いし、非常にいい買い物をしたと思う。エビスサーキット西コースの、2コーナーを回って上り坂から左コーナー(裏の下りストレートに入る手前)への進入から脱出では、スロットルを開け始めるとリアが流れ出す(言う迄も無く、トラクション・コントロールはオンの侭である)が、その滑り出しが素人のオヤヂにも非常に判り易いし、滑り始めた後の挙動も凄く穏やかで唐突な変化が無いので、全然怖くない。従って、スロットルを緩めずにステアリング操作に集中することができた。

また、タイトなヘアピン・コーナーでは、アンダー・ステアが出始めても、ステアリングをもう一切りすると、クルマの向きがまだ変わることが確認できた。これには正直、オヤヂは驚いたぜぃ。Porsche 911 GT3 RS用サイズのタイヤは選択肢が殆ど無いのだが、小生としては自分の運転が巧くなったような気にさせてくれる、このProxes 1というラジアルタイヤを、とても気に入った。

尚、内圧が高目な方が良いのもAD08と似ているようで(オヤヂの個人的な感想だが)、温間で260-280 kPaで4輪とも同じ内圧にして走行したところ、270-275 kPaでタイムが出易かった気がする。

ところで、オヤヂの”7秒台”連続ラップには少々からくりがある。ブライトニングの嶋崎氏は、彼が自らチューニングを施したMazda NC1 Roadsterで、1’07″8を叩き出してしまうのだが、その嶋崎号が遠くに見えたので、何とか追いつこうとオヤヂが必死に走った結果が、好タイムの連続周回に繋がったという訳だ。しかし、カムとエグゾースト・マニフォールド等の交換で多少のエンジン出力アップ(ノーマル170馬力に対して、200馬力程度になっているらしい)と、脚周りの交換とセットアップで、島崎氏のMazda NC1 Roadsterの戦闘力は非常に高まっているとは言え、Porsche 911 GT3 RS (415馬力) とでは車格がまるで異なる。そんなクルマ同士がいい勝負をしてしまう、というのは、(オヤヂの腕の悪さを棚に上げれば)嶋崎氏のチューナーとしての技量と、ドライバーとしての腕が、賞賛に値するものである証だろう。実際、嶋崎氏の運転する嶋崎号の助手席に乗せて戴くと、タイトなコーナー以外は、殆どずーっとスロットル全開(!)走行であることに驚かされる。どうりで裏ストレート後の高速S字セクションでは全く差が縮まらない訳である。逆に、オヤヂに嶋崎号のステアリングを握らせて戴いても、とても嶋崎氏と同じレベルで走らせることは不可能だった。

そして、当初200m程度だった差を10周程掛けて漸く20m程に詰めてきたところで、裏ストレート手前の例の上り坂左コーナーで、焦ってスロットルを早く粗く開け過ぎたオヤヂは、ゆぅっくりとスピン! カウンターステアで抵抗することなく、チョロッとコースアウトして停止したため、Mazda NCEC RoadsterとPorsche 911 GT3 RSの”在り得ネェ”激闘に終止符が打たれたのだった(汗)。憔悴しきったオヤヂがピットに戻ると、嶋崎氏が「レースみたいで楽しかったですね!」と声を掛けてくださった際には、”お前も少しはクルマに乗れるようになったな”と言ってくださったように聞こえて、思わず潤っと目頭が熱くなる思いがした。

あとでロガーのデータを検証すると、低速コーナーはまずまずイメージ通りに回れていることが判り、その一方で、高速S字セクションやホームストレート手前の最終シケインでは、走行中の印象通り、井尻選手(や嶋崎氏)と差が付いているのが改めて確認できた。ド下手だった(heel & toe)を使ったシフト・ダウンも、まずまず無難にこなせていたようである。

蛇足だが、今日は事故も起きてしまった。裏ストレートの全開区間に入る一瞬手前は、緩やかな下りの左旋回区間なのだが、ここで車体のバランスを崩した車両が、裏ストレートでスピンし、土手に乗り上げて宙を舞い(!!)、ホームストレートと裏ストレートの間を隔てるガードレールの上にストンと落ちたのだ。車速が高い区間だけに、下手をすると大惨事になりかねなかっただろうが、ガードレールの「真上」に落ちる迄は、車両は殆どどこにも衝突しなかったのと、ガードレールが程好い緩衝材になったようで、幸いにも車両はほぼ無傷だったし、勿論ドライバにも全く怪我はなかった。そして、クレーン車で救出された車両は、その後も元気に走り続けたのであった。

何はともあれ、参加者の皆さんにもそれなりに楽しんで戴けたようであるし、オヤヂはへとへとになるまで楽しめたので、今年最後のエビスサーキット走行会としては、大成功だったと思いたい。

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