パンク

今朝の出勤途中、愛車(FELT社製自転車)の後輪がパンクした。職場まで残り1km足らずの地点だったので、距離としては自転車に乗れずに歩いてもたいしたことはなかったが、家を出たのがギリギリの時間だった為、畢竟遅刻寸前になってしまった。

だが、歩いたお陰で思わぬ発見(?というほどのものでもないか)もあった。普段は自転車を必死にこいでいるので、周囲の風景や、特に小さな店舗など には注意を払う余裕はないのだが、今朝のパンク事件は、通い慣れた道の両脇の風景を、改めて観察するきっかけになったのだ。で、発見というのは、男性用理 髪店だ。その店は、小さい。決して綺麗ではない。派手さも全くない。従って、目立たない。が、よく見ると、入り口横の窓ガラスにペンキ(若しくはそれに順 ずる顔料)で「男の店」と銘打ってある。そしてオヤヂの心に強く訴え掛けた店の名がそれに続いて書いてある。それが何と、驚くなかれ、モボ、だ。モボだよ モボ!

モボとは、大正末から昭和初期の、先導的な(流行の?)スタイルの洋装をした男の呼称で、モダン・ボーイ(modern boy)の略だ(知らない人のための解説)。対を成す言葉として、モガ(言うまでもなくmodern girl)というのもあった。オヤヂは、ある程度古い人間だし、博識だからそういうことも知っているが、果たして今の「一般」世代の大多数は、モボの謂れ を知っているかどうか、甚だ疑問である。モボの意味が判らなければ、”流行の先端を行く格好良い男”を連想させるのを狙ったのであろうその店の名に惹かれ て入る客も、居ないことになってしまう。意味の判る壮年のみを相手にしている店なのか?或いは、その怪しげな意味不明な言葉に、魅力を感ずる青年が居るの か?

何れにせよ、大正でも昭和でもなく、平成も17年になった今尚、死語となった店名で営業を続けているのだから、ある意味すごい店だ。自分で入ってみようとは、絶対に思わないが、野次馬的な興味は尽きない。因みに、復路では勿論、職場近くの自転車屋さんにパンク修理を依頼し、無事に復活した愛車に跨って帰宅した。

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