日本郵政グループが解り辛い

先日、ネットショップでワイングラスを購入した。グラスは注文後程無くして届いたが、6客(脚)のうちの1客が粉々に砕けており、他の1客はサイズ違いだった(他と比べて少し背が低かった)ので、計2客の交換を販売店に電話で依頼した。販売店側の対応は丁寧且つ迅速で、商品交換に即応ずる約束をしてくれたし、事実その翌日には代わりの商品が届いた。問題はそのあとだ。

オヤヂがネット(the interNet)好きなことが主たる理由で、我家ではネットショップの通信販売を頻繁に利用する。ワイングラスも、以前に購入済みの約2ダースのうちの半数は通販で購入したもので、嘗ても届いたグラスの1個が破損していたことがあった。その時は、グラスの配送をした宅配便業者の配達担当員が、連絡後直ぐに破損品を回収に来たし、代替品との交換完了までの全体的な流れが、とても円滑だった。

ところが、今回のグラス配送担当の日本郵政グループは、ライバルの宅配便業者とは対応が全く異なっていた。販売店から荷物の中身(ワイングラス)が破損していた旨の連絡を受けた民営化後の”郵便局”は、オヤヂの居住地区の担当”支店”に連絡を入れたのであろう、壊れたグラスが届いた数日後に、「郵政事業株式会社」の社員だと名乗る男性が、”荷物の破損証明書”なる書類に、荷物受取人の確認印を求めて我が家にやってきた。数日前にオヤヂが販売店から伝えられていた話に依れば、破損品とサイズ違い品の双方を、郵政グループの担当者が引き取りに来るので、販売店が返送された商品の状況を確認完了し次第、代替品をオヤヂ宛に再送する、という手筈だった。しかし、郵政事業株式会社員は、機械的に書類への捺印を要求しただけで、破損品の受取をしないばかりか、破損品の確認すらせずに帰ってしまった。

オヤヂとしては、既に代替品を受け取っているので、ある意味どうでもよかったのだが、”訪問者”の杜撰な対応を不審に思ったオヤヂが、グラスの販売店に「今後の展開」を問い合わせると、暫くしてから返事があり、”郵便局”との遣り取りに時間が掛かったので返答が遅れたことを詫びる言葉の後に、後日”郵便局員”が不備のあった商品を受け取りに来る旨を告げられた。そこでその”後日”が来るのをオヤヂが待っていると、更に1週間が経過してから漸く、再び「郵政事業株式会社員」が荷物を受け取りに来たので、懸案のグラスを彼に引き渡すことで決着を見た。

送荷(ワイングラス)の破損、という同一の事象に対して、宅配便業者と日本郵政グループとでは、その対応に多大な相違があったことに驚いたオヤヂは、民営化されたとはいえ旧体制を維持した儘の郵便事業の官僚制(ビューロクラシー/bureaucracy)にその原因があると睨み、日本郵政グループの組織機構をネットで調べてみた。すると案の定、日本郵政グループは複雑な機構を持った巨大組織だった(郵政民営化法案が話題になっていた際には、法案の中身よりも法案に反対意見を唱える国会議員が取り沙汰されていた印象が強く、郵政グループの組織機構にオヤヂが関心を持ったことは今迄無かった。)。日本郵便(郵政事業株式会社)、ゆうちょ銀行(株式会社ゆうちょ銀行)、かんぽ生命(株式会社かんぽ生命保険)、郵便局(郵便局株式会社)という4つの株式会社が日本郵政株式会社の子会社として存在し、郵便局が郵便事業・簡易保険事業・郵便貯金事業の3事業の窓口業務に当たる仕組みらしい。しかしこれは、日本郵政公社が執行していた郵政3事業を、組織機構として単に焼き直して取り入れただけであることは誰の目から見ても明らかだし、日本郵政株式会社と子会社である郵政事業株式会社との関係や、郵政事業株式会社と旧郵政3事業を取り仕切る他の3会社との関係が曖昧で、寧ろ機構が複雑化した分、解り辛い。

民営化前なら、ゆうパックの管轄は郵便局のみが行なっていたのであろうが、今は郵便局株式会社は単なる窓口で、管理は郵政事業株式会社が行なう、というような分業体制になっているようで、客観的に見ると1つの会社の1部門が行なって然るべきな程に単純な業務(荷物の集配)を、2の巨大株式会社が分担して行なう、という信じられない仕組みになっていることに、問題点が集約されそうだ。即ち、郵便局株式会社が行なった荷物の配送の結果、荷物の破損が起こったが、荷物の管理責任は別会社である郵政事業株式会社にあるため、郵政事業と郵便局という2つの会社が、1つの荷物に関する書類の遣り取りを含む煩雑な情報の交換を、顧客そっちのけで連綿と行なっていた為、荷物の破損事故が起きてから2週間も経って漸く解決を見る、というお莫迦な事態に陥ったのだとオヤヂは思う。普通なら、こんな非効率的な組織機構はもっと効率を追求して簡素化されるべきだし、こんな劣悪なサービスしか提供できない株式会社は、淘汰されるべきだ。

ところで、話は脇道に逸れるが、会社名の決定については、オヤヂとしては一定の評価をしたい。嘗て公社だった組織が民営化されるに当たって、JR(Japan Railway/旧日本国有鉄道)、JT(JAPAN TOBACCO/旧日本専売公社)、NTT(Nippon Telegraph and Telephone/旧日本電信電話公社)等、ローマ字(英語)表記のabbreviationを安易に社名に取り入れた例ばかりであったのに対して、郵政事業ではJP(Japan Post)をロゴに使うのみに留めた点には、好感が持てる。しかし、「ゆうちょ」や「かんぽ」は、郵便貯金や簡易生命保険の俗称だった筈だし、特に「かんぽ生命」という社名にしてしまうと、「簡保」の発生過程を振り返れば明らかな如く、社名中に「生命保険」を二重に内包していることになり、変だろうと思う。こういった、国民に媚びていながら莫迦にもしているようなネーミングも、やはり官僚的で厭だ。

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