吉見の百穴

埼玉県比企郡吉見町にある、「百穴(ひゃくあな)」に行ってきた。我家から比較的近いので、お手軽なドライブといった感じだった。オヤヂの生家からは更に近く、小学生の頃は度々自転車で遊びに行った記憶があるが、今日のドライブの印象だと、小学生としては随分遠出をしていたものだ、という気がした。

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吉見の百穴は、小さな岩山に大小2百余りの「横穴墓」が掘られたものだ(写真1)。「横穴墓」とは、古墳時代末期から奈良時代にかけて、大和朝廷の勢力拡大に伴い地方に広がった「群集墳」の最も簡略化された形態らしく、古墳の石室を真似て作られた横穴である。第二次世界大戦中には、軍需工場として使われたという大きなトンネルも縦横に掘られているが、現在はその工場跡の殆どは閉鎖されており、僅か1割程度が一般公開されているに過ぎない。

小さな横穴墓の1つには、天然記念物にも指定されているヒカリゴケ(光苔)が生息している(写真2)。写真ではやや判り難いかもしれないが、薄暗い横穴の中を覗くと、黄緑色〜金色に光り輝く絨毯状の苔を見ることができる。ヒカリゴケは学名 Schistostega pennata と言い、北半球の冷涼な地域に生育するそうだ。夏でも涼しく、一定の湿度が保たれ易い横穴墓の内部は、ヒカリゴケの生育に適した環境なのだろう。蛍や一部の海洋生物の如く、自ら発光する能力を備えているわけではなく、胞子から発芽した原糸体細胞がレンズのような働きをして、入射してくる僅かな太陽光を反射することにより光るのだという。関東では日光のものが有名らしいが、東京都千代田区九段下の北の丸公園内の石垣にも自生しているらしい。

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