医者の年収

医師といえば、「高給取り」の代名詞。しかし、誰もが高給なのではない。遠隔地で、ボランティアのような医療活動をしている医師もいれば、「給料が安い」と言われる研修医として働いている人もいる。では、どんな医師が高い収入を得ているのだろうか?

厚生労働省が昨年3月に発表した「平成15年賃金構造基本統計調査」によると、医師の平均年収はグラフのようになっている(発表された数字は月収と年間賞与で、そこから年収を算出)。

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それを見ると、確かに医師は高給取りである。20代後半で692万円、30代後半で1,000万円突破と、普通の人から見れば、うらやましい限りだ。ただし、みんながみんな高水準だとはいえない。会社で言うならば社長に当たる開業医や、社員である勤務医、研修社員の研修医の間で、一般の企業と同じような開きがあるのは当然のこと。さらに興味深いのは、勤務している病院の規模が、収入に大きく影響している点だ。

サラリーマンの普通の感覚では、大企業ほど収入が高い。しかし、医師の場合はその逆。従業員(医師だけでなく)が1,000人以上の事業所(つまり病院)に所属している医師の年収が966万円であるのに対し、100〜999人の職場だと1,429万円、99〜10人規模になると1,533万円となる。

これは、規模が大きな病院ほど、看護士や検査関連の技師、理学療法士などの専門家を数多く抱えて、さらには、入院設備など必要な経費が多く、医師に給料を回せないということだろう。特に今は、医療不信の後押しもあって、経営難に陥っている大病院も多い。よく「大病院の研修医の給料は安い」と言われるのはこのためだ。その、研修医に相当する年代の20代後半に限ってみると、1,000人以上の事業所に勤務している場合は、598万円なのに対し、99〜10人規模の事業所だと、1,028万円と倍近くになっている。都会の大病院で研修医として勤務するよりも、田舎で親が経営する医院の跡取りとなった方がはるかに収入がいいかもしれないのだ。ドラマで威張っていたあのお医者さんも、若い頃は違っていたかもしれない。

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