イタリアからの電話

オヤヂは、携帯電話の利用契約はしてあり、料金も毎月ちゃんと支払っているが、普段は携帯電話を身につけて持ち歩く習慣が無い。従って、オヤヂの携帯電話は、”ケータイ”としては殆んど機能しておらず、自宅の固定電話と大差無い状態で抛って置かれている。昨日は帰宅後、その携帯電話の着信履歴を確認してみると、訳の解からない番号(出だしの数字も、全桁数も、”あり得ない”番号だったのだ)が1件記録されていた。着信時刻は、夕方になっていた。

しかし、着信履歴が残っていたからといって、わざわざこちらからその番号に電話を掛けてやるほど、オヤヂはお人好しでは無い。ましてや、先方の番号が訳の解からないものであれば、尚更だ。相手は、”フィッシング”目的で電話をしてきたのかもしれ無いし、こちらから電話をした途端に、自動的に課金されるシステムである恐れだってある。そんな訳で、オヤヂは畢竟、携帯電話に残っていたその番号を無視した。

すると、真夜中(午後11時半過ぎ)に、今度はオヤヂの自宅の固定電話が鳴った。オヤヂの家の固定電話は、ナンバーディスプレイの契約をしているので、通常ならば発信元の番号が表示されるが、相手が「番号非通知」の措置を取っている場合は、勿論その限りでは無い。ところが、今回は「番号表示可能圏外」とかいう、またもや”訳の解からない”表示がされていたのだ。不審に思いながらも、電話を取ることが「危険だという思い」よりも、「訳の解からない表示をさせる電話の主を確かめたい欲求」の方が遥かに勝っていたので、オヤヂは電話に出てみた。

「もしもし…?」とオヤヂが言うと、暫しの沈黙のあと、相手は”Hello?  Is that Mr. Oyaji?”と、明らかに英語を母国語としない民族の英語で、応えてきた。その瞬間、オヤヂには全ての謎が解けた。そう、それはイタリアからの国際電話で、相手はLamborghini Driving Academy (ドライビング・レッスン)の渉外担当嬢だったのだ。英語の訛りは、イタリア語圏訛りというよりは、ドイツ語圏訛りのようにオヤヂには聞こえた。

電話の用件は、ドライビング・レッスンの日取りが、オヤヂが希望していた(そして仮の受諾書まで貰った)日とは別の日に変更されたが、それで問題が無いかどうかの問い合わせ、であった。幸い、今月末のイタリア旅行の予定は、未だ殆どが”オープン”であり、確定した日程は無いも同然である上に、ドライビング・レッスン前後の日程には余裕を見てあったので、実際のところ全く問題はなかった。しかし、何ヶ月も前に予定が組まれている催しに関して、その開催直前になってから、何の前触れもなく勝手に開催日を変更してしまうとは、日本では考えられない事態である。イタリア(人)には失礼かもしれないが、そういうことを平気でやってしまうあたりが、いかにもイタリアっぽい気がして、オヤヂとしては笑ってしまうしかなく、逆に好感すら覚えてしまいそうな程だった。 “I wish it wouldn’t cause any problems for you.”と申し訳なさそうに電話の向こうで話す相手に対して、ヒトの好い日本人そのものになりきったオヤヂは、”No, not at all.”と答えたことは、言うまでもない。 :mrgreen:

これまでも、本国イタリアのAutomobili Lamborghini S.p.A.(本社)とは、ドライビング・レッスンの件で何度もe-mailの遣取りはしていたのだが、何故か自分が本当にイタリアに渡ってレッスンを受けるのだ、という現実味が希薄だった。それが今回の電話のお陰で、俄然現実味が増したのは、とにかく良かったと思う。 😛

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