Lamborghini Driving Academyは最高!

Academy01 昨日は、Lamborghini本社の博物館+工場見学に続いて、今回の旅行の主目的である、Lamborghini Driving Academy (LDA)に参加する為、Adria International Raceway入りした。Adria Circuitは、ピット裏が巨大な体育館の如き構造のガレージになっていたり、ピットの上がホテルになっていたりと、日本のサーキット(但しオヤヂは鈴鹿・富士・筑波しか知らないが)とは大きく設計思想が違っていて面白い。

LDAのスタイルとしては、基本的に日本の女神湖や士別の時のAudi Driving Experience (ADE)と同じである。前日の夕方に会場(ホテル)入りして、歓迎セレモニー(ADEでは最後に貰えるグッズを、いきなり最初に貰えてしまう。Lamborghiniブランドの、スポーツバッグ、パーカー、ポロシャツ、そして帽子、と盛り沢山だった)兼翌日の為の簡単なブリーフィングがあって、その後にレストランでの親睦会だ。

Academy02 参加者は、オヤヂを含めて7名(オヤヂの同伴者としての妻を含めれば8名)で、定員の半分だったが、その面々が凄かった。オヤヂは、間違い無く最も低収入の参加者で、他の欧州人たちは、証券会社の経営者だったり、玩具会社の経営者だったりして、Ferrari、Aston Martin、Bentley、Maseratiなどの高級車を何台も所有し、最近の不景気でイタリアの高級別荘が2百万ユーロという格安の値段で買えるようになったなんて驚きだよね、なんて平気な顔で話しかけてきたり、私は昔、日本でも結構有名な(でしょ?)CHARLES JOURDAN (シャルルジョルダン) の経営者だったんだけど、売ってしまったんだよね、なんて自慢話を聞かせてくれたりする、ブランド物を嫌味ではなく着こなし、身に着けている、本物のセレブ達だった。教習車には1台Lamborghini Murciélago LP640-4も含まれていたのだが、30万ユーロよりちょっと安いんだってさ!なんて目を輝かせながら、その場で即金で買ってしまいそうな紳士も2、3人いたっけ。懇親会の参加者は、そういうセレブ達に加えて、イタリア人伊達男のインストラクタが4人、それにオーストリア人のプロジェクト・リーダーが1人、という構成だったので、パーティーの時も全員(総勢僅かに13人)と本当に一所懸命話し続けなければならなかったのだが、普段生きている世界が狭く、従って話題も乏しいオヤヂには、ちょっと荷が重かったなぁ。政治、経済、宗教など、オヤヂとしては普段の生活で「そんなの関係ねぇ!」と思っている分野の話題こそが、教養があって地位のしっかりしている人々が「楽しむべき」ものなのだ、ということを、改めて痛感させられてしまった。

Academy03Academy04 そして、本日のLDAそのものは、文字通り最高だった。レッスン・カリキュラムも日本のADEと似たような内容が中心かと思いきや、さに非ず。似たようなメニューといえば、パイロン・スラロームと、散水(低摩擦係数)路面でのカウンターステアの練習(Audiではないので、メニューは”quattro dance”ではなく、”pendulum [振り子] “と呼ばれていたが)のみで、あとはひたすらサーキット走行だった。最初から最後まで、とにかくアドリア国際サーキットをチャンと走れるようになることを主目的にしている、というスタイルだったのが、オヤヂには本当に嬉しかった。自動車教習所の教習車の如く助手席にもブレーキ・ペダルが付いているわけではない、普通のLamborghini Gallardo LP560-4の助手席に教官が乗って、命掛けでサーキット走行のマンツーマン教習をやってくれるのには、正直恐れ入った。しかも、日本では考えられない程に規則が甘くて(?)、先生も生徒も全員が半袖ポロシャツにノーヘルメットで、サーキットの全開走行を敢行してしまうのだから、凄過ぎる。

Academy07 教え方も、丁寧だけれどもとても厳しくて、ブレーキの踏み方とライン取りは、低速周回時から徹底的に叩き込まれた。特に、ブレーキの踏み方と、ステアリングの切り方・戻し方、ステアリング開度(「戻す」のを「開く」と表現することを、オヤヂは始めて知った)とスロットル開度の連携、は非常にシビアに指導・注意された。朝の最初のサーキットの低速周回の時は、基本的にコースを知らない訳なので、適当に(勘で)ブレーキングをしていたのだが、最初からコーナー毎に、初期制動力、荷重移動、荷重維持、そしてエイペックス(クリッピングポイント)に寄せる為のブレーキの抜き、を「駄目ダメ、そんなんじゃ全然ダメ!それじゃ止まっちゃうよぉ。ああ、そんなに抜いたら荷重が逃げるでしょ!」という雰囲気で、「イイのは、高速コーナー前の初期制動の強さだけだね。」なんて、そりゃもう厳しぃ〜く教えて貰った。でも、イタリア人インストラクタのそういう熱さが、とても嬉しくもあった。

Academy06 ADEで頻繁に教えて貰う、「タイヤの摩擦円」の話は一切出なかったが、ブレーキの強さ(ブレーキ・ペダルの踏み具合)とステアリングの開度を反比例させたり、スロットル開度とステアリング開度を連携させたり、というのは即ち摩擦円に言及するのと同じ理屈なわけで、しかもより実践的な教え方だという点で、好感が持てた。ステアリングが真っ直ぐな時にはスロットル全開だし、ステアリングが真っ直ぐな時にフルブレーキング、というのは、当たり前だけど解り易いよね。ステアリングを閉じている(ハンドルを切っている)時には、ガス・ペダルもブレーキ・ペダルも踏んだらイカン、というのもね。

それから、流石にESP (electronic stabilization program) は最後までOFFにさせて貰えなかったのだが、感覚的には2速で回りたいタイトなコーナーでも、「ここは比較的早くスロットルを開けて加速しなければいけないコーナーだから、3速で回るんだ。2速に落とすと、ESPが介入してしまって、逆に遅くなるから。」というようなアドバイスも、目から鱗だった。

Academy05 ADEのメニューでもquattro-danceが滅法苦手なオヤヂは、pendulumの練習では、やっぱり酷く苦戦した。しかしこれも、自分の意思で、狙った瞬間に狙った通りに車を動かす、ことを意識させる積もりなのか、ADEとはかなり趣向が違っていて、ウェットの円周回路にパイロンが2本立ててあって、ゆっくり左旋廻しながら最初のパイロンにクルマが到達した瞬間に一瞬のスロットル・オンでリアを滑らせ、右にカウンターステアを切ることで軌道修正して元のラインに戻り掛けたら、次のパイロンが既にあるので、そこで再度スロットル・オンで今度は逆に(左)にフル・カウンターを当てて脱出、というメニューである。スロットル開け過ぎ!カウンターの戻しが遅い!なんて叱られていると、あれ、いつの間にADEのカリキュラムになっちゃったのかな?などと思ったりもした(汗)。

そんなこんなで、一日の最後には、ショート・シフトに徹して滑らかな加速・減速・コーナリングを心掛けて先導してくれるインストラクタのMurcielago LP640-4には、Gallardo LP560-4で楽について行けるようになったので、スキルアップのヒントは沢山貰えたのだと思う。

参加費は、ドライバーとしての参加で約40万円(1ユーロ=135円として)である。これは、正真正銘のセレブな欧州人達には、出費のうちには入らないような端金だろうけれども、すごく無理して参加したオヤヂにとっても、決して高くはない教習費だと思う。例えば、昨年迄日本でも開催されていたLDAは、自車持込で参加費が約6万円だったようだが、自車持ち込みで、ブレーキ・パッドとタイヤを全て駄目にしてしまったとすると、それらの交換費用だけで40万円近い金額が掛かるし、エンジン・オイルやブレーキ・フルイド等を交換したり、その他の整備をプロに頼めば、あっという間にどんどんとお金が掛かる。しかも、自分の車だったら、パイロンを踏んだだけで、貧乏なオヤヂは「ゲッ!」と思ったりもするだろう。従って、宿泊・食事・指導者完備で、クルマも貸してくれて、損害保険も込みで、サーキットを丸1日走りたい放題で40万円、というのは破格の安さと言えるのではないか。

とにかく、今日は素晴らしい1日だった。

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