FISCOスポーツ走行再び(Gallardo LP560-4 & 911 GT3 RS)

本日は、のんびり走行会のメンバーのうち、白のPorsche 911 (996後期型) GT3のT氏と、赤のBMW 325i (トミーカイラチューンド) のU氏と一緒に、富士スピードウェイ(FSW/FISCO)のスポーツ走行に出向いた。U氏は、黒のBMW M5をFSWで初めて爆走させる予定だったのだが、訳あってそれが叶わなくなり、泣く泣く、先月同様に325iでの参加となった。オヤヂは、Lamborghini Gallardo LP560-4と、Porsche 911 (997前期型) GT3 RSの両車を、初めて一緒に持ち込んで乗り比べるという”贅沢な暴挙”に挑戦してみた。ご指導はいつも通り、プロフェッショナル・レーシングドライバの井尻 薫 選手にお願いした。(オヤヂはまた、完全に写真を撮り忘れた 😥 。)

FSWに到着して、皆でガレージ(ピット)に車を駐めていると、隣のピットから聞き覚えのある「あれ?」という驚嘆の叫び声がした。その声に驚いて隣を見ると、(有)Brightningの嶋崎氏が立っていらっしゃった。訊けば、雑誌(REV SPEED)の取材で、クルマとタイヤのテストに同行していらっしゃるのだそうだ。確かに、嶋崎さんの周囲には、大井 貴之 氏や、Zファイター山田氏など、お馴染みの方々がウロウロしていらっしゃった。

しかし、オヤヂ達のピットでは、雑誌の取材とは無関係のイベントが進行した:E社の技術者のM氏がわざわざFSWまで出向いて来てくださり、我々の車両の走行終了直後のブレーキユニットの温度測定をしてくださったのだ。その結果判ったのは、オヤヂの勝手な予想を遥かに超えて、Gallardo LP560-4のリア・ブレーキには大きな負担が掛かっている、という事実だ。外気温30度の晴天の日に、FSWを全開(タイムとしては、2’01″フラットから2’02″台)で6周してピットに帰ると、リアのローター温度は摂氏400度を超え、キャリパー温度も200度+だった。井尻さんの参考タイムは1’59″だったが、「ブレーキが抜けそうで不安」だったため、それ以上のアタックは断念なさった程。

吸気温が高いのでエンジン出力も落ちていたようで、ホームストレートの最高速も260km/hを少し超えるのがやっとで、体感的にも遅かったし、ホームストレートでピット前を通過する車両を外から見ていても、明らかに遅かった。まあしかし、猛暑の中での走行の割には意外に良いタイムだったとも言えるので、涼しくなってからのタイム・アップが期待できそうである。ADVAN Neova AD08のフィーリングも良かった。

ロガーで記録したデータを見ると、6月の走行で大きな欠点として明らかになった、1コーナーのブレーキングや、Aコーナーのライン取りは、ほぼ、イメージ・トレーニングで頭に思い描いた通りに改善されていたのは、素直に嬉しい。但し、100Rのライン取りやブレーキングはまだまだだし、Bコーナー(ダンロップ/シケイン)手前のブレーキング(踏力強過ぎ!)や、侵入と脱出の角度が全然駄目なのと、最終コーナーの脱出も相変わらず下手糞なので、これだけで合計1秒以上失っているのには、大いに落胆した。

一方、911 GT3 RSでは、高い気温と高い路面温度のせいで、タイヤ (TOYO Proxes 1)のグリップが落ち、リアが簡単に流れた。そしてそれが、非常に楽しかった。勿論、オヤヂの場合は、怖くてtraction control (TC)をオフにはできないが、997前期型GT3 RSの場合、TCの介入は比較的遅く、多少のパワースライドは許容してくれるのだ。例えば100R後のヘアピンの立ち上がりで、スロットルを少し早目に、けれども丁寧にジワッと開けていくと、後輪に掛かる駆動力が増すに連れ、グリップが破綻し、後輪はコーナー外側(=右側)に流れ始め、所謂オーバーステアの状態になる。そこですかさず、軽くカウンターステアを当ててやり(左カーブのこの場合、右にちょっとステアリングを切ってから、直ぐに、けれどもゆっくりと、ニュートラル・ポジションに戻してやり)ながら、更にスロットルを開けて行ってやると、GT3 RSはコーナー出口に向って姿勢を立て直しながら、真っ直ぐ、矢の様に加速を始めるのだ。ここで万一、カウンターステアが遅れたり、スロットル開度が大き過ぎたりすると、満を持してTCが介入し、エンジン出力が絞られ(たり右前輪に軽くブレーキが掛かけられ)るので、クルマは失速気味にはなるものの、姿勢を乱すことなくコーナーの出口に向うことになる。失速することで、運転手は自分の運転操作の未熟さをPorscheに教えられる格好だ。

RR (rear-engine, rear-drive) のPorsche 911系は、後輪が滑り始めると一般には御し難いと言われている。何故なら、後輪が滑っている場合、クルマの先端(の延長線上)が中心で後端が外周の、円弧を描くことになる訳だが、リア・エンジン車の場合、後端に「エンジン」というクルマの構成要素のうちで最も重いモノが積まれているのだから、フロント・エンジンやミド(シップ)エンジンの車に比べて、円弧の最外周に最強の慣性モーメントが働くことになり、リアが流れ始めると収束し難いという特性が生まれるのだ。特に、自然吸気ながら415馬力の高出力が後輪のみに掛かる997前期型GT3 RSは、おっかないのである。しかし、素人のオヤヂが感じた範囲の話ではあるが、TOYO Proxes 1は、そのタイヤ特性として、限界域の挙動がマイルドで、リアが唐突にブレイクすることはなく、滑り始めは凄く穏やかだし、流れ出した後の制御もし易い(勿論、TCの助けを借りられる安心感も相俟って)ので、GT3 RSなのにリアが流れても怖くはない(※FSWで、ならば)。今回、GT3 RSで走った際のオヤヂのラップタイムは2’04″~2’05″と平凡だったが、楽しさはLP560-4の10倍だった。しかも、GT3 RSのブレーキの冷却効率が凄かった:全開走行後に測ったキャリパーの温度は、LP560-4に比べて凡そ100度も低かった。ラップタイムが数秒遅い(=平均速度や最高速が遅い)ことを差し引いても、流石はレース経験豊富なポルシェ、と言わざるを得まい。

そんな訳で、LP560-4のブレーキについては、後輪も積極的な冷却を考える(しかし、クルマの構造上これは困難)か、リアもより大容量の社外品に交換するか(これも構造上困難)、という問題を解決しなければならなくなった。また、ブレーキパッドについても、GT3 RSに装着していて好感触な物と同じ摩材なのにも関わらず、オンかオフか、の如き極端な効き具合で、特にブレーキを”抜きながら”制動力(前荷重)を少し残しておくのが難しい為、摩材の再選択も迫られる結果となった。

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