天婦羅

オヤヂは天婦羅が好きである。そんなもの食べているから太るんだよ、というお叱りの言葉がどこからか聞こえてきそうな気はするが、好きなものは好き だ。仕方がない。その大好きな天婦羅だが、本当に美味しいと思って食べることのできる機会は、残念ながら殆ど無い。ところが、今週末にはどういう具合か、 どうしてもホンモノの天婦羅が食べたくて仕方がなくなった。そしてこれまた何故かは解らぬが、十数年以上も前に何度か行って、とても気に入った天婦羅専門 店があったことを、急に思い出した。

職場で以前、さいたま市(旧浦和市)にある某ホテル内の天婦羅屋が凄い、と耳にしたので行ってみた事があるが、ここは期待外れだった。天婦羅といえ ば誰もが真っ先に思い浮かべるであろう食材の「えび」が悲しい程小さく、他の食材も良く言えば”お上品”ではあったが、要するに(満足度も含めて)美味し い!と言い得る店ではなかった。その割りには、莫迦にできない勘定書きが来たことも付け加えておこう。そんな経験以来、近隣の天婦羅屋に入るのが何となく 躊躇われていた。寿司忠で時々出して貰える天婦羅で、ある程度満足もしていた。けれども、どうしても「専門店」で「ホンモノ」を食べたくなり、しかも(最 近のnegativeな経験から益々美化された)思い出の店まで思い出してしまったのだから、行かない手は無かった。

で、行ってみた。その店は「くにさき」といい、茨城県土浦市にある。学生時代と卒後暫くは、つくば市で過ごした関係上、隣りの土浦市には比較的頻繁 に出掛けたが、流石に高級天婦羅店には然程縁は無かった。だからこそ、却って「くにさき」を鮮烈に憶えていたのだと思う。一応インターネットで検索する と、ちゃんと出てくる(店の主人が大分県の国東出身だからこその店名だそうだが、平仮名表記だ)。そして検索しておいてよかった。十数年前とは店のある場 所が変わっていたのだ(同じ土浦市内ではあるが)。オヤヂの住む埼玉県からは、乗用車で片道1時間半以上掛かるところにある「くにさき」はしかし、それだ けの時間を掛けても行く価値のある店だった。記憶にある店よりもずっと広い構えにはなっていたが、主人は記憶にある人そのもので、天婦羅の揚げ方も、口上 も、そして何よりも絶品のホンモノの天婦羅の味が、記憶にある「くにさき」の儘だった。約20年振りに店を訪れたことを告げると、そういえば以前にお見掛 けした記憶があるとおかみが申しております、などと嘘まで吐いてくれるサービス振りだった。本当においしかった。ご馳走様!

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